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ロラン・バルト「明るい部屋」読了

ロラン・バルト「明るい部屋」読了。

言葉で説明しようとすればするほど
本質からは遠ざかる。
そこにあるものに、意味を付与すれば
するほど、本質からは遠ざかる。
写真の中には、そういうものが
封じ込められている。
バルトが「それはかつてあった」
としか言えないのは当然だ。
写真には、言葉なき言葉、
表象なき表象、
そういう神秘と魔術が確かに存在する。

バルトが写真の中に視たものを、
あたしは現実の街の中に視ている。
それを確かに視た瞬間を
写真にしたいと、
そう願ってやまない。
しかしながら、確かに視たはずの
あたしにとっての真実は、
カメラやレンズの再現性をもってしても、
写真として簡単には
浮かび上がってこない。

そこにあるのは、極小のちいさな光。
本当に小さくてありきたりで、
だれもが見過ごしてしまうけど、
その光は、年代記のような膨大な物語を
あたしに語って聞かせる。
その物語には言語としての言葉はない。

バルトは第一部で語った事を
「前言撤回」して、意味付けすることをやめる。
第二部で、彼の母への追悼の物語として、
写真の中に封じ込められているものについて
語ろうとするのは、また当然の様に思う。
存在が持っているのは物語であって、意味ではない。
プンクトゥムとはそういう種類のもの。
写し出された目に見える表象を通り越して、
その本質について、
表層意識としての理性を通り越して、
あるいはそれを必要とせずに、
脳に、あるいは魂に、
有無を言わせず理解させてしまう力を持っている。
古(いにしえ)の日本人が、「幽玄」と呼んだもの。
そこに言葉も、言葉として語れる意味も必要ではない。
ただ、解る。
あたしはそれを知っている。
ただそれだけだ。
言葉なき言葉、表象なき表象とは、
例えるならば、
遺伝子に刻まれたコードに似ている。
それを読み取る力は、人間であれば誰でも
本来持っている。
忘れないで。
思い出して。
そう、祈る。


一先ず、読了後の鮮度が
落ちないうちの感想。



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by hitsuji_yu | 2012-06-13 15:35 | 写真


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